ものづくりのステップアップ(Maker Faire Tokyo 2014、ミニヘボコン第1回~第6回を開催しました)

ここで告知するのを完全に忘れていましたが、Maker Faire Tokyo 2014 内でミニヘボコンというのを開催しました。*1

2日間でトーナメント6回+その場でまとめてプレゼン、というタイムテーブルはハードすぎて終盤は目の前がキラキラしましたが、しかし全6回、ものすごく楽しかったです。参加してくれた皆様、見に来てくれた皆様どうもありがとうございました。

7月のヘボコンがうまく行き過ぎたから、あの興奮はもう二度とないかと思ったけど、やればやるほどまだまだ新しいよさが出てくるイベントでした。またやりたい。

今回のレポートは再来週くらいにデイリーポータルZに載せると思います。

 

さて、大きなイベントが終わった後はちょっと熱のこもった文章を書いておくと記憶に残ってよいのですが、今回はその体力がないので、最後にやったプレゼンから一部を抜粋しておきます。

「ポストヘボコン時代」というのはあえて大げさにして笑いを取っている部分ですが、僕がやりたいこととしてはわりとこういうことです。(前に書いた「ヘボコンとはなんだったのか」と視点は違うものの大体同じことを言っている&尺にあわせていろいろ端折っているので、ちゃんと読みたい人がいたらこっちを読んでください。)

 

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ものづくりのステップアップについて。

 

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みんなが「ものづくりを始めよう」と思うとき、スタートとゴールがあります。スタートは未経験の自分。ゴールは、技術力の高いちゃんと動くロボットだったり、かっこいいアート作品だったりとか。ゴールというか目標ですかね。

この図では下がスタート、そこから上に向かっていくイメージで見てください。

 

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未経験者がゴールに達するまでは、多くの段階を踏む必要があります。
ロボットだったら、電圧の意味を理解して、トランジスタの使い方を覚えて、サーボモーターの動かし方を覚えて、金属を曲げる方法を覚えて、切断する方法を覚えて…。
これが従来の道のり。

 

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Makersムーブメントが、これを変えました。
Arduino3Dプリンタや、その他多くの便利で使いやすいツールが登場したので、いくつかのステップを飛ばせるようになりました。ここまでは、この会場にいる皆さんならご存知のとおりです。

しかしこのあと、ポストヘボコンの時代がやってきます。
ポストヘボコンの時代ではこの図がどう変わるのかというと…。

 

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一つ一つのステップではなく、ゴールの方がですね、急にここまで降りてくるんですよ。
はじめから志が低いという。

そうすると何が起きるか。

 

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なんと、このゴールまでは矢印1本でいけるんですよ。
最小限の努力でゴールインできる。すごいですね。こないだ第2の産業革命が来たばっかりですけど、もう第3の産業革命です。

では次は、ここに、到達人数を重ねてみましょう。

 

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黄色い網掛けの幅が、その段階への到達人数です。

矢印の数だけそこに挫折者が生まれてきますから、従来は、ものづくりに興味を持った人のうちほんの一握りしか、ゴールインできなかったんです。

その状況をMakersムーブメントが変えまして、矢印の数が減ったので挫折者も少なくなり、ゴールインできる人が増えた。

ではその先、ポストヘボコン時代ではどうなるか。

 

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なんとですね、ポストヘボコン時代は矢印がひとつしかないですから、大多数の人がゴールインできてしまう!

そういう画期的な時代が来るわけです。これから。

 

で、話はちょっと逸れるんですが、あわせて考えていただきたいこととして、こういう問題があります。

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「人間はゴールに到達しないと作品を発表しない」。

必ずしもそうじゃない人もいるとは思いますけど、けっこう多くの人がそうなんじゃないかと思います。

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こういう発想がありますよね。「まだゴールに達してないな」と思うことで、人は自分の作品を発表しないで、隠してしまう。

そこでさっきの図を思い出してほしいんです。

 

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簡単にゴールインしてしまうポストヘボコン時代。

それは大量の作品が発表され、インターネットにアップロードされ、現実世界でも見せびらかされる時代です。しかも全部ヘボい。

これはですね、もうカンブリア爆発ですよ。あるいはパンドラの箱を開けてしまった状態。そんないいものじゃないかもしれないですけど。むしろ舌切り雀の大きいつづらを開けちゃった感じかもしれない。

こういう状況になってほしいのかどうかっていうのは人それぞれだと思うんですけど、少なくとも僕はそういう、みんなが、そんなにたいしたものじゃなくても、何でも気軽に発表できるような世の中が面白いんじゃないかなと思っています。

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僕は、あなたの失敗作が見たいです。

 

*1:自分の活動の告知はどこか一箇所にまとめたいと常々思っているのですが、難しいですね(雑なため)。