電子工作を趣味にすると何ができるようになるか(+電子工作のはじめかた)

電子工作で作れるもの

あまたある趣味の中で電子工作というのはわりに実利があるというか、日常生活で役立つシーンの多い趣味であるように思う。

自分が電子工作に初めて触れたのは2009年で、ちょうど10年の趣味歴ということになる。まっとうな勉強をしていないので技術力や工学への理解はほぼ皆無に等しいのだけど、それでも10年もやっているといろいろなことができるようになった。

ここではその振り返りもかねて、「電子工作を趣味にするとどういうことができるようになるか」というのを、過去に作った実例を挙げつつご紹介したいと思います。

生活のツールを作れる

日常生活で役立つ便利なツールを作れるようになる。作れるものとしては例えば、


これは観葉植物の土が乾いたらLEDが光って教えてくれる装置。子供が花の種を植えたときに、水やりを忘れないように作った。
詳細:ジャンパブロックをブレッドボード代わりに使うと便利 - nomolkのブログ


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ノイズ再生器。当時「ホワイトノイズを部屋に流しておくと作業に集中できる」という内容のTogetterまとめが話題になっており、どんなもんかと思い作った。ただのホワイトノイズでは色気がないので、鳥の鳴き声とか雨音とかいくつか選べるようになっている。
詳細:『部屋に雑音を発生させる機械』を自作する(MP3再生モジュール DFPlayer Mini を単体で鳴らす) - nomolkのブログ

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これはいまも使い続けている。出先から、家にいる子供と連絡を取るためのシステム。自分側はスマホのgmail、子供はスマートスピーカーを使って相互にメッセージを送ることができる。
子供は自分で何らかの端末を立ち上げてメッセージを送るということがまだできないので、常時起動しているスマートスピーカーを活用できるのは非常に便利。
詳細:液晶付きマイコン「M5Stack」 と Google Home で、子どもとメッセージがやりとりできるシステムを作ってみた | fabcross

なにか「こんなものが欲しい」と思ったときに、売っているものであれば買えばいいんだけど、ニッチな用途のものは必ずしも製品化されているわけではないし、あってもとても高くついたりする。
そんな時に自分で作ってしまえるのは非常に便利なスキルである。

新しいアイデアを試せる

前項で挙げたような「必要なもの」以外に、「こんなものがあったら面白いかも」と思ったものもすぐに実装して試すことができる。

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居眠りするとエアコンの設定温度が下がって、起こしてくれるシステム。
当時ダイキンとNECが共同でこのようなシステムを発表したのが話題になっており、実装してみた。なのでこれはアイデアといっても他人のアイデアだけど…。
詳細:Python+OpenCV+dlibで居眠りを検出してArduinoでエアコンの設定温度を下げる - nomolkのブログ


半分のキーしか効かないキーボード。見た目が普通なので分かりづらいけど、中をいじって右半分のキーを殺してある。

これは早押しボタン風のEnterキー。USBキーボードなので、PCに接続して使える。

この2つはイベントの余興で「キーボード二人三脚」というゲームを考えたときに作ったもの。右半分しか効かないキーボードと、左半分しか効かないキーボードをそれぞれ分担し、2人で息を合わせて文章を打ち込むというゲームだった。早押しボタン風Enterキーは、入力完了の操作をキーボードでEnter押す代わりに、早押しボタンをパーン!にすると派手でいいかな、と思って作った。

こんな感じで、電子工作ができると個人的な物を作るだけでなく、舞台装置を作ってイベントの演出をしたりということもできる。
詳細:新感覚!二人三脚タイピングゲームできました :: デイリーポータルZ

お役立ちアイテムと違って、「面白いかも」的なアイデアって実際作ってみないと本当に面白いかどうかわからない。こうやって実装して自分で使ってみることによって、はじめてアイデアの有効性を検証することができる。独力でそこまでやれるのはすごく楽だと思う。

電気製品の改造ができる

既製品の、ここちょっとイマイチだな、と思ったところを勝手にカスタマイズすることができる。


子供のお気に入りのおもちゃから爆音で音楽が流れて辛かったので、ボリュームツマミをつけて調整できるようにした。
詳細:音がでかすぎるおもちゃにボリュームつまみをつける - nomolkのブログ


念仏機というお経が流れるガジェット(?)。もともとコンセント電源だったのを、USB端子に改造してモバイルバッテリーでも動かせるようにした。
詳細:念仏機をUSB給電に改造する - nomolkのブログ

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プログラミング機能のついていないロボットのおもちゃを、パソコンからプログラム制御できるようにした。
詳細:2000円台で買えるロボットおもちゃをWifiとscratch対応に改造してプログラミング教育王に俺はなる - nomolkのブログ

電気製品といいつつ、実例がぜんぶおもちゃになってしまった。
Nintendo Switchにオート連射機能をつけたい、みたいな複雑な改装は難しいけど、電池駆動のおもちゃをACアダプタ対応にしたりUSB給電にしたりといった改造はけっこう簡単にできる。

電気製品の修理もできる

改造する以外に、壊れたものを修理することもできるようになる。
これは記事化していないのでテキストのみでの紹介になるけど、

  • ボタンの効かなくなったリモコン
  • 子供の防犯ブザーのスイッチ故障
  • MP3プレーヤーのイヤフォン端子の接触不良

このあたりはすんなり直すことができた。

自分はやったことがないけど、よくネットで見かける例としてはスマホのバッテリー交換とか、ゲームのコントローラのスイッチ換装などもある。
修理代が浮くのはもちろんだけど、自分で修理したデバイスはより「自分のものになった」感じがして、愛着がわいて良い。

オープンソースのプロジェクトを自分で実装できる

世の中には誰かが作った素敵な作品が無数にあり、ありがたいことにその作り方を公開してくれている人もたくさんいる。


これはオープンソースのOTTOというロボット。作り方を見て部品を買い集め、組み立てた。
詳細:プログラミングもできる(そしてカワイイ)オープンソースの二足歩行ロボットOTTOを作る - nomolkのブログ

「ネットで見たのと同じものを手に入れる」という意味では作るのも買うのも同じなのだけど、自分で作ってみることによってより原作者がどういう点にこだわって作っているのか見えてくるし、苦労の一部を共有できるようで楽しい。
作り方が書いてあるといっても大抵は一筋縄では完成しないのだけど、そこを四苦八苦するのもまた面白いところ。
魅力的なプロジェクトの数々は instructables などで見つけることができる。
www.instructables.com

既製品のすごさが分かる

自分で手を動かしていろいろ作ってみると、既製品がいかに良くできているかがわかる。


写真はバンダイのおもちゃ専用ACアダプタで、独特の端子形状をしている。
当初は「独自端子でACアダプタを買わせようとしてけしからん」と思っていたのだけど、コピー品を自作しようとしたところ、子供が互換性のないアダプタと間違えて挿さないように独自形状になっていることや、引っ張ったとき壊れにくい形状になっていることが分かり、結局感心させられてしまった。
詳細:バンダイ ACアダプター Bタイプ を死んでも買いたくない - nomolkのブログ

既製品というのはだいたいすごくよく考えて作られているのだけど、ただ使っているだけだと気づかないことが多い。そのすごさが、中をいじったり、自分で作ってみようとすると見えてくる。

電子工作以外の工作もできるようになる

電子工作ってひたすら電子部品をはんだ付けしてるイメージがあるかもしれないが、実はそれは工程のごく一部でしかない。
実際にはケースを作ったり、アクリルのアームにモータを取り付けたり、樹脂や金属のボディにツマミを埋め込んだりと、素材を加工する作業が地味に多い。
自然と家にドリルやノギス、ピラニアのこぎりや各種接着剤等の工具が増えていき、いろんな加工ができるようになる。

自分は3Dプリンタまで購入してしまった。

冗談が、言うだけで終わりじゃなくて実体化できる

自分の本業はおもしろサイトの編集なので、その方面でも重宝している。「メガネを発射してスパーンって飛んで行ったら面白いよねギャハハ」という冗談がただの冗談で終わらずに、ほんとにメガネをスパーンって飛ばすことができる。コンテンツである。


撃てるメガネ
詳細:新兵器「撃てるメガネ」 :: デイリーポータルZ


メガネに指紋をつける装置
詳細:ついに登場!メガネに指紋がつかないようにする装置の反対 :: デイリーポータルZ


遠隔操作でスネに貼ったガムテープをバリバリってはがしてすね毛を抜く装置
詳細:悪魔の兵器・すね毛剥がしマシン開発日誌(デジタルリマスター版) :: デイリーポータルZ

これ系の装置は記事の撮影をしている15分程度の間だけ動けばよく、耐久性や信頼性が必要とされないのでホビイストにも手を出しやすい分野である。

自分の場合は、記事のために3日くらいで雑に何か作って、Maker Faire*1 での展示のためにそれをちゃんとさせる(耐久性とかを考える)ということの繰り返しで、できることが増えていったように思う。

作ったものを売れる

Maker Faire 等のイベントに行くと、自分の作品を展示するだけじゃなくて売ってる人もたくさんいる。

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これは僕が作ったCapsule Cheeperというおもちゃで、これまでに150個くらい販売した。
たくさん作るのは1個作るのと全然違う苦労や発見があって、とても面白い体験だった。
詳しくはぜひこちらを読んでほしい。
詳細:電子工作キット50個量産したら新しい世界が見えた :: デイリーポータルZ

儲かるかどうかでいえば材料費比なら黒字だけど、人件費考えると赤字である。体験として面白いのでやっている。なにせ趣味なので。

その他

必ずしも電子工作やってればできる体験というわけではないと思うけど、自分の場合は電子工作をやっていたことでミュージックビデオに出れたり小学校で授業やらせてもらったりといろいろ変わった体験をさせてもらっている。ずっとオリジナルの作品を作り続けていると、そういう思いもよらない体験に呼んでもらえる確率が上がるように思う。

デメリット

と、ここまでよいことばかりを並べてきたが、もちろん悪いこともある。

  • 家に物が増える
    • 工具やら部品やらがどんどん増えていって収拾がつかない
  • 改造や修理は、失敗して元に戻せない場合もある
    • 一回改造するとメーカー修理も受けられない場合が多い
    • AYOR(At your own risk)である。

電子部品も工具もわりと安いので、趣味としてはお金のかからない方であると思う。
もちろんプロユースの高い機材もあり、上見るときりがないのは他の趣味と同様。

何ができるようになるのか、まとめ

はからずも俺総集編みたいな感じになってしまった。

いろいろ紹介してきたけど、ざっくりまとめると

  • 欲しいものが自分で作れて便利
  • 世の中の製品を見るときの解像度が上がる

の2点は明確なメリットだと思う。趣味に実益を求めるべきかどうかというのは意見が分かれるところであるとは思うけど、少なくとも好きでやってることでこれだけメリットがあるというのは、非常に幸運なことだと感じる。

何から始めたらいいか

もしかしたらこれを読んで電子工作を始めたくなる人もいるかもしれないので、おまけとして始め方も書いておきたい。

2019年現在の電子工作事情

Arduino以降、初心者でも使いやすいマイコンボードがたくさん登場した。現在のホビーレベルの電子工作は「マイコンボードにセンサー(モジュール)やモーター(ドライバ)をつないで、マイコンボードに書き込んだプログラムから制御する」のが主流になっていて、電子回路の知識はそれほど要求されないし、難しい計算も不要だ。もちろん専門知識があれば高度なことができるけど、10年やって上記のような物をいろいろ作ってきた自分は「オームの法則*2は知ってるけど使ったことない」レベルである。工学部の1年生より全然何も知らない。

どっちかというと

  • 簡単なプログラムが書ける
  • センサーやモータにどんな種類があって、どこで買えるかを知っている
  • 便利な工具をいっぱい持っている
  • 電子でない工作や、メカ(ギアとかリンク機構とかの機械的な機構)、サーバサイドプログラミングなど、周辺技術を持っている

あたりが有利に進められる要素だと思う。とはいえプログラムに関してはサンプルプログラムの流用でいいし(みんなやりたいことは同じなので検索すれば大抵見つかる)、部品はセット品を買ってしまえば一気に手に入る。工具も必要になったものから段階的に買いそろえていけばよい。周辺技術はあると強いけど別になくてもいい。

何もない人でも、探求心さえあれば始められる。

最初のステップ

いまはいろんな便利なマイコンボードがあるものの、ネット上の情報の多さを考えるとやはりArduinoから始めるのが結局近道だと思う。(異論は認める)

いまだと最初に買うのは、オライリーの「Arduinoをはじめよう」+ELEGOOのスターターキットがいい気がする。前者は入門書、後者はArduino互換機とセンサー類、モーター類がセットになった詰め合わせ。後者は中国製品だけど日本語ドキュメントもダウンロードできて、各部品の最低限の使い方が書いてある。しかし基本的に説明は淡白なので、Arduinoをはじめようで理解を深める感じ。

これでArduinoの基本的な使い方と、それに接続できるセンサーやモータにどういった種類のものがあるか、およびその使い方が分かる。

(2023/03/04 追記)
筆者が昨年、電子工作の入門本を出版した。

「Arduinoをはじめよう」ではカバーできない、もう半歩進んだ実践的な工作のノウハウと、自分のオリジナルの作品を作るための考え方みたいなものが得られるようになっている。ぜひあわせて手に取ってほしい。内容について詳しくはこちら

次のステップ

ここまでやったら、4つのルートに分かれる。

  • 自分の作品が作れそうだと思ったら
    • すぐに作り始めればよし。
    • 動くものが作りたい場合、オライリーの「Making Things Move」を読んでおくとメカへの理解が深まる。(モーターは回転しかしないので、それでどうやって物をつかむか、とか)
    • センサーを使ってINPUTのほうを電子工作するのは意外に地味なので、モーターやサーボでOUTPUTするものを作ると「やっとるぞ」という実感が得られる
  • もう少しArduinoの使い方を勉強したい
    • オライリーの「Prototyping Lab」も読んでみるといいかもしれない。Arduinoを使った「揺れを検知するにはどうしたらいいか」「環境ごとにセンサの値を調整するには」みたいなテクニック集。
  • ネットにつないでIoT的なことをしたい
    • ボードをArduinoからESP32(ESPr Developer 32)に変える(WifiとかBluetoothがついてる)。Arduinoと同じ感じで開発できるのでGood。ネット上でチュートリアル的な記事を探してみよう。
  • 人の作品見て覚えるタイプ
    • Yours for the making - Instructablesから面白そうなものを見つけて真似して作る
    • これをやると部品や工具を買うことになるので、結果的に手元にいろいろ揃って良い

ESPr Developer 32

ESPr Developer 32

  • スイッチサイエンス(Switch Science)
Amazon

上記をやる過程で、じょじょに、ブレッドボードだけじゃなくユニバーサル基板をつかってはんだづけしてみたり、家にある要らないおもちゃをダメもとで改造チャレンジしてみたりと、いろいろ新しいことを試すようにしていくと、そのうち電子回路への理解がなんとなく深まっていく。

オリジナルの作品は、自分の技術起点でできるものを考えるのではなく、作りたいものを先に決めて試行錯誤しながら実装した方が当然ながら経験値が上がる(大変だけど)。
あと Maker Faire とかに申し込んで締め切りに追われる状態を作ると、効率的にレベル上げができる(大変だけど)。
(自分の場合は Maker Faire もだけど、記事の締め切りもあったので常時追われていた)

そういう活動を10年続けると、いまの自分のような感じになります。

思いついたので追記:電子工作キットについて
電子部品屋に行くとヘッドフォンアンプとか電源ユニットとかの組み立てキットが売ってますが、ああいうのはアナログ回路なのでArduino使ってどうこうみたいなのとは全く別物です。電子工作にもジャンルがある。あれ作って全く意味が分からなくても「才能がなかった…」と思わなくてもいいです。

工具

工具は、スターターキットを終えたあたりでそろえ始めるとよさそう。ニッパー、ペンチ、グルーガンはマストで、電動ドリル、ノギス、ワイヤストリッパ、テスターくらいまでは最初にそろえてもいいかも。
必要に応じて順次、はんだづけセット(はんだごて、ヘルピングハンド、ピンセット)、リーマー、はんだ吸い取り器、ヤスリ類、圧着ペンチ、とかを買い足していく感じ。
以下、自分が使っている工具です。

マスト

ニッパー。電子部品の足切ったり、針金切ったり。これはクリップ付きで切ったものが飛び散らなくていい。精密ニッパーは硬いもの(太い針金とか)を切ると刃こぼれするので、雑に使う用の安いニッパーを別途買っておいてもいいかも。

ラジオペンチ。先曲がりで溝付きが好みなのでこれに。針金曲げる時、レンチ持ってないサイズのナット閉めるとき、はんだ付けの時ピンセットがわりに、とかなんでも使う。

この辺は「いかに手持ちのほかの工具と色が被らないか(パッと手に取れるので)」というのも製品選びの重要なポイントだったりする。節約したければホームセンターにある300円くらいの安物でも最初は充分。

グルーガン(ホットボンド)。なんでも固定できるし、接着剤みたいにつけるもの同士を密着させる必要がないので、固定の自由度が高い(変な角度で固定したりできる)。どれでもいいので1本買おう。

最初にそろえてもよさそう

電動ドリル。電動ドライバとしても使用可。特にこだわりはないので安くてレビューのいいやつを買った。とにかく穴をあける機会は多い。接着剤のつきにくい素材も穴さえあけてしまえばネジ止めできるし、針金で巻いて固定することも可。乾燥待ちの必要もなし。後ろに水平器をつけておくと穴が垂直に開けられて便利。

ノギス。定規で測れるようなものはもちろん、穴の径とか丸材の直径とかなんでも測れる。

ワイヤストリッパ。銅線の被膜むくやつ。ないと作業効率的につらい。他のにする場合は対応サイズ(同線の太さ)に注意。

テスター。自分の場合は電圧よりなにより導通チェックが一番使う。あと抵抗はカラーコード覚えるよりテスターで測った方が早い(早くはない)。特にこだわりはなくホームセンターにあったやつを買った。

必要に応じて順次

はんだごてだけは安物使うと心が折れて「もう電子工作を引退するしかない…」ってなるので、これ買っておくと間違いないです。こて台(スタンドのこと)も一緒に買おう。

ヘルピングハンド。はんだづけは部品、基板、こて、はんだを同時に持つ必要があり、手が足りないので必要。ルーペ付きとか部品トレイ付きとかこて台一体型とか、各種あるのでお好みで。

ピンセット。細かいものを持つほか、素手で部品持ってはんだづけすると熱いので使う。曲がってるのやまっすぐの、いろいろあるのでお好みで。

リーマー。ドリルであけた穴を広げる道具。ツマミとかスイッチをケースに埋め込むとき等に使う。太さはこのくらいが使いやすい気が。

はんだ吸い取り器。間違ってはんだ付けしたものを外すときとか。既製品を改造したい時にも重宝する。リンクの製品は比較的コンパクトで場所取らなくていい。

ヤスリ類。これは自分が持ってるやつとは違うけど、丸いのと平たいのがあれば事足りそう。

圧着ペンチ。ケーブルを基板に挿すためのコネクタを作る。必要になってから買えばOK。これかPA-21のどちらか。QIコネクタ(ピンヘッダに刺さるコネクタ)に使えるので。

消耗品としては銅線を早い段階で買っておくといいです。ジャンパ線じゃなくてメートル売りの長いやつ。熱収縮チューブもあるといいかも。あとは必要に応じてどうぞ。

構造材としては、タミヤのユニバーサルアーム&プレートを使ってる人をよく見る。サイズ測って穴開けたりしなくていいので楽。
でもコスト的に上がるので、自分は100均の小物入れとか細めの角材とかを使うことが多い。

ネジは太さがいろいろあってどれ使えばいいんだよって感じになるけど、とりあえずM3を買っておくとよい。電子部品にあいてる小さい穴はだいたいM3で合う。

最終的にはホームセンターの近くに引っ越すと工作がはかどるのでお勧め。次点で百均の近く。

部品をどこで買うか

電子部品なら秋月が定番。Amazonには中国の業者の安い部品がたくさんあるけど、Amazon発送のものを選ばないと中国発送で1か月くらい待たされたりする。同じ待たされるならAliexpressで輸入してしまった方が安かったり種類が多かったり。あとボード類とかはスイッチサイエンスが面白いものがいろいろある。

やってはいけないこと

知識がないうちは「何が危険なのか」すらわからず無茶をしてしまいがちですが、よくわからないうちはとりあえず下記に気をつけるとよいです。

  • 100V(コンセントの電源)を直接扱わない(ACアダプタを挟んでこっちはOK)
  • 高電圧部品を含むものを分解しない(CRTモニタとか。ばらす前に一回検索してみるとよい)
  • ACアダプタ等、電源周りは火が出がちなので安物を使わない方がいい(自分は秋月のを使ってます)
  • リチウムイオン電池は雑に使うと燃える。裸で買うのではなく既製品のモバイルバッテリとかを使う

あとは、「何かあったときにすぐに電源を遮断できる」ようにしておくと安心です。スイッチ付きの電源タップを使うとか。
5Vくらいの低電圧いじってる限りは感電して死ぬということはまずなくて、せいぜい煙が出たり部品が壊れる程度なので心配しなくていいです。(それを放置すると燃えるかもしれないけど)

ソフトウェアエンジニア向け

Linuxとかバリバリ使えるような人はDebianベースのOSが動くRaspberry Piから入るのもいいかもしれない。とはいえそういう人はArduinoにもすぐなじめると思うので、上記のルートでも問題ないと思う。Arduinoのほうが5Vで入出力できて、サーボモータやいろんなセンサーが使いやすい気がする。

電子工作のはじめかた、まとめ

以上が自分の考える2019年版、電子工作の始め方です。
これは100人100様の答えがあると思うので、これでは無理と思ったら他の詳しい人に訊こう。

おまけ:3Dプリンタはいいぞ

3Dプリンタがあると、自作デバイスも基板むきだしじゃなくてケースを作って入れられたり、ギア等の機械部品を作れたりしてできることがかなり広がります。造形の人が使うイメージかもしれませんが、実は電子工作のお供としてかなり相性がよいです。いま使ってる機種が超おすすめなのでこちらも合わせてどうぞ。
nomolk.hatenablog.com

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ものづくりの入門に最適と大好評のロボットバトルイベント、ヘボコン。電子工作未経験のみなさまのご出場をお待ちしております。ロボットを作る技術のない人が作ったロボット状のなにかを無理やり戦わせる大会です。

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毎年6~7月ごろ、本大会を東京で開催しています。
最新情報はFacebookグループで随時お知らせしています。大きな大会の前にはデイリーポータルZでも随時告知します。
ヘボコンを開催したい主催者の方も募集しています。ものづくり系の催し物や、STEM教育の授業、科学館でのワークショップ、学祭等で多く開催されています。主催者用資料等もご用意しています。Facebookでご連絡ください

*1:DIYの展示会的なイベント。個人出展が多い

*2:電気の勉強すると最初に習うやつ。V=IR。