英語の勉強をやめたら生活がめちゃくちゃ充実してきた


概要

英語に限らず自己研鑽というものは、ハチャメチャに可処分時間を吸い取っていきます。社会人生活におけるブラックホールです。
急にパタッとやめることにより、自由時間が増え、今まで時間がなくて諦めていた趣味が全部できるようになり、通勤中にPodcastでなく音楽を聴くことも可能、肌つやも良くなり毎日がバラ色のようになりました。

また、自己研鑽はなまじ充実感があるだけに依存状態になりやすいです。依存しすぎるとやめた際に禁断症状が出てくる点も含め、さいきん流行りのシャブによく似ています。

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Wikipediaより、メタンフェタミンの結晶です

英語学習を始めた理由

自分は近年まで英語学習に対し「必要な日が近づいたら勉強すれば良い」という態度を貫いており、一切興味を抱かずにいました。いちおう理由もあって、「英語圏の音楽の歌詞が聞き取れるようになるのが嫌」「単語と身振り手振りだけで辛うじてコミュニケーションを取るというエンタテインメントを失いたくない」というものです。

それが一昨年、自分が立ち上げたヘボコンというイベントが一晩のうちに世界に広がるという出来事があり、海外からバンバン問い合わせが来て英語を使わざるを得なくなりました。
いいですかみなさん、「必要な日が近づく」なんてことはありません。必要な日は突然来るんですよ。明日あなたの自室の屋根を突き破って空からブロンド美女が降ってくるかもしれないんです。それから奇妙な同棲生活を始めるか怒って屋根の修理代を請求するかはあなたの自由ですが、どちらにしろ英語が必要なんです。わかりますか?
あとちょっと勉強したくらいで英語の歌詞は聞き取れるようにならないので、余計な心配はしなくて良いんです。

話がそれましたが、要するに全くの不意打ちだったため、当初はメール1通5センテンスくらい返信するのに半泣きで2時間かかるという状況でした。恐るべき生産性の低さです。
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英語のメールに返信する様子(イメージ)

学習初期

海外からメールが来だしたのは一昨年の12月くらいです。

最初は来たメールを読んで返信するだけで膨大な時間がかかったため、それ以外に勉強する暇はなかったです。でも英語力が皆無だったためそれだけでもかなり勉強になりました。
しだいに返信に使える定型文が溜まり返信も早くなったので、2月ごろには勉強を始めることにしました。

まずは通勤中にPodcastを聴くことからです。何人かの知人にDMM英会話を勧められたものの、いきなり会話をしても全く聞き取れる気がしなかったのと、家で空いた時間にはSkyrimがやりたかったので、勉強は通勤中のPodcastのみに絞りました。(Skyrimというのはアメリカのゲームですが、もちろん日本語吹替版でやっていました。)
Podcastはもっぱら初心者向けでおすすめされているESLを聞いていました。飽きたら外国人向けの日本語学習Podcastを聞いていました。日本語の意味が英語で説明されていて逆に英語の勉強になるという感じです。

その後、8月にSkyrimのメインシナリオを終え、言い訳ができなくなったこともありついにDMM英会話を始めました。
英語を学ばない理由として挙げていた「単語と身振り手振りだけで辛うじてコミュニケーションを取るというエンタテインメント」ですが、皮肉にも、英会話を始めることによってこれでもかというくらい堪能できました。これは本当に面白いので、英語が上達したくない人も無料体験だけでもやってみるといいと思います。

あとやったことといえば、英会話やPodcastに出てきてわからなかった単語をGoogle Spreadsheetにまとめるだけまとめ、その後、一度も見返さないなどの活動も行いました。

慣れてから

昨年の10月くらいには、超初心者向けPodcastは8割方聞き取れるようになりました。
英語に慣れて抵抗感が減ってきたので、例えば技術的な問題や洋ゲーの攻略に行き詰まった時、海外のフォーラムの情報を活用できるようになりました。(これが今のところ英語を勉強した最大のメリットです)
このころからDIY投稿サイトInstractablesの面白そうな投稿を読む、というのも毎日の日課に取り入れました。おすすめは妻のクレジットカードをレジン樹脂で固める方法の解説記事です。
www.instructables.com

英会話では、テキスト学習がピンと来なかったので専らフリートークを選びました。同じ話を違った講師に何度かして、だんだんうまく話せるようにする、というのをやって、それなりに成果は出たように思います。
一方で、当初のような新鮮さはなくなってきました。あと、そもそもの性格としておしゃべりが得意なタイプの人間ではないので、早朝から人と話すのがだるくなってきました。

また、このころ仕事で日本語記事の英訳文のチェックが始まりました。(英文を読んで、翻訳者が原文の日本語を誤読している部分を探す)
日本語と英語の表現を比べながら読むことになるので、これがとても勉強になりました。

そういうわけで一部に若干マンネリを感じつつも、勉強自体は楽しかったです。自分の能力が伸びていくという実感は何事にも変えがたい。これが人間が自己研鑽の沼から抜け出せなくなる最大の理由です。

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(右)英語に慣れてきた英語学習者(イメージ)

英語学習はシャブ

僕は訳あって朝型生活をしていますが、生活パターンとしては朝起きたらまず英会話の予習(話したいことに必要な単語を辞書引いておく)、そのあと5時から英会話、終わったら家族が起きてくるまでInstractableを読む、そして通勤中にはPodcast。という感じで可処分時間をすべて英語に当てていました。
大好きだった音楽をあまりきかなくなり、一日50万ツイートくらいしていたTwitterも5日に1ツイートくらいの頻度にまで下がりました。趣味の電子工作やゲームもすっかりお休みしていました。

学習に効果的であっても苦痛なことはやらないと決めていたので、どれもまあまあ楽しかったです。それに加えて、繰り返しになりますが、自分の能力が伸びていくという実感は何事にも変えがたい。
このように弱い快感と強い快感が定期的に供給されるので、次第に英語学習に依存するようになってきます。

いちど依存状態に陥ってしまうと、禁断症状が表れます。英語の勉強を1日しないだけで、「英語力が落ちていくのではないか」「国際社会で生き残れないのではないか」といった不安にさいなまれます。
そうして英語学習を続けていくと次第に脳を侵され、幻覚症状が出たり、目に生気がなくなり、常によだれを垂らしているような状態になってしまいます。
英語学習は、ちょうどいま流行っているシャブに似ています。コカインやヘロイン、シンナー等にも似ていますね。

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TOEIC800点を獲得するために必要な1週間分の薬物(標準体型の成人男性の場合)

克服

去年の12月頃、いわゆる年末進行というやつで仕事が忙しくなり、何日か英会話を取らなかったのをきっかけに、英語学習が中断しました。

その後、年末休暇からやろう、年明けからやろう、このゲーム終わったらやろう、を経ていよいよ2月に突入。あれから約2か月が経過しました。
こうして私は、英語学習中毒を克服したのです。

英語学習をやめてわかったこと

  • 人間には朝起きてすぐゲームをする自由がある
  • 通勤時間にPodcastをやめると音楽がたくさん聞ける。音楽はとても良い
  • こうして他愛もないテーマで長文のブログを書き、数時間をドブに捨てることも可能
  • Twitterをはじめインターネット上の活動量が増え、生きている実感が得られる
  • 可処分時間があるので様々な活動ができるぞと思って、やるかどうかは別として人生の可能性を強く感じる

等です。
英語学習は続けることが重要、1ヶ月やらないと3ヶ月後退する、等とよく言いますが、3ヶ月後退しても死ぬわけではないので、生きる実感を得るためであればやめるのは大いに有意義であると思います。

また、自分の能力が高まるのは結構なことなのですが、ほかの趣味なりなんなりの自分のプライベートなプロジェクトが一切進まなくなる/立ち上がらなくなるというのは、人生の生産性がメチャ下がりの状態であると自覚しなければいけません。
暇を持て余すくらいなら自己研鑽したほうが良いですし、目的があって学習するのはとても良いことと思うのですが、自己研鑽はあくまで手段であるべきで、それが目的化しスキルをつけるために生きているような状態になるとそれはシャブ中と変わらない気がします。

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英語学習をやめたスリランカ人の様子

今後の展望

とはいえ、仕事では相変わらず英語を使う機会があります。
特に春以降は海外に行く予定や外国人と集まる予定があったりして勉強しておかないとやばいので、近々再開すると思います。

やったらやったでそこそこ楽しくて、うっかりすると英語学習のことばかり考えてしまう英語ゾンビみたいな感じになります。

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英会話教室の様子

依存症にならないよう節度を守りながら、英語学習というシャブとうまく付き合い、シャブの力で自分の能力を伸ばしていきたいと考えています。

おすすめの本

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上の続編で接続詞や副詞について書いてあり、単文でなく文章を書くうえで参考になりました。

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