Maker Faire Tokyo 2025 良かった学生出展まとめ

電子工作系を中心に、なんか作ってる人がビッグサイトに作品を持ち寄って見せ合う会、Maker Faire Tokyo 2025 が終わりました。今年も楽しかったですね~。

このイベントに学生枠で出展するとYoung Maker Challengeというコンテストにエントリーされることになっており、この制度が始まってから4年、ずっとその審査員をやらせてもらっています。
50以上のブースを二日間で全部説明を聞いて回るのですが、普通に回ったら見落としてしまいそうな(見た目が)地味な作品がすごく面白かったり、「よくあるやつ」っぽい見た目の作品が実はすごく独自性があったりするんですよね。能動的に興味があるものだけ見るのではなく、強制的に全部見せられるというのは実はめちゃくちゃお得なのでは!?と最近思っています。

というわけでその中で(一般的な視点は全く考慮せず)個人的に面白かったものを紹介します。に書いたものに少し追記したものです。


石川からのYMC優秀賞は久留米高専Pneu Logicsさんの水の論理回路に贈呈しました。

水流でANDやOR、NOT等の論理演算を実装しています。電気と全然性質の違うもので論理演算をやっててすごいうえに、同時にビジュアライズも果たしている。そしてビジュアライズされているということは教育用に使えるのではと思う人も多いと思いますが、そこも抜け目なく子供用のお風呂おもちゃ化(2枚目)まで果たしていました。

これすごいのはNOTを実装しているところ。(水の供給がないときに水を出さないといけない!)


Young Maker Challenge 最優秀賞はJAIST佐藤研究室+電通大IMLさんのシャボン玉ディスプレイ。

ちょっとわかりにくい像の時に写真を撮ってしまったのですが、細かい市松模様が表示されています。

単純にシャボン玉の中からプロジェクションすると光が通過してしまうので、冷気で凍らせることで像を映します。映す以前にシャボン玉が凍るっていう体験がまず面白いし、冷気(網目の部分から出てくる)を手でシャボン玉に当てるときの冷たさも、新雪を手で持ったみたいなフィジカルな感触があってよかった。


筑波大エンタテインメントコンピューティング研究室のブースに「初めての電子工作なんです」という方が何人かいて、どの作品もよかったのだけど個人的に特に良かったのがこれ。
「自分の絵を動かしてみたい」という夢が電気の力で叶った瞬間、自分の表現の可能性がいきなり目の前でバッと広がったであろう瞬間を、僕自身の初めての電子工作経験と重ね合わせてグッときてしまった。エモすぎる。

僕はもともとこういう、人が初めて作った作品(や、うまい人の失敗作)を見たくてヘボコンを始めた経緯があるので、これは本当にめちゃくちゃよかったです。こういう場に初めての工作を個人出展で出すのは勇気がいると思うけど、こうやってグループ出展なら気軽に出せる。Young Makerの枠には研究室やサークルでグループ出展しているブースが多いので、ぜひ気軽に参加してほしいし、出展者する人はぜひ周りの未経験者を一緒に誘ってほしいです。

ちなみにこれ、機構としてはサーボだけのシンプルなもの。初心者らしいと言えばそうなんだけど、いっぽうで自分は長年電子工作やっててもいまだに段ボールにサーボつけただけのものを作って動画にして]人に見せたりしている。

www.youtube.com

工作って全然こういうのでいいと思うし、どんどん見せてほしい。
※同じようなと言ったけどほんとうは筑波の人のほうがカムも3DCADも使っているので高度

本人によるメイキング:Maker Faire Tokyo 2025に出展するまで|ひつじのいえ

もっといい動画:



FabAcademy Neode:kannaiさんの作品。
画像を読ませるとAIが解釈して(単に模写するのではなく、画像からイメージして)枯山水を生成、実際にアームが動いて砂に描いたあとそれをもとに俳句も読んでくれます。
「わびさびを全自動化しました」ということなのだけど、全自動化したことでわびさびがゼロになっているのがすげえ面白い。


小澤知夏さんのインスタントタトゥーカメラ。写真を撮るとカメラの中のレシートプリンタがシルクスクリーンの版をCMYK作ってくれて、その版を使って絵具でボディペインティングができます。
感熱紙プリンタで版作れるのが大発見すぎるし、それをこうやってキャッチーな作品に仕上げる力もすごい。


IoTロボコンプロジェクトのブースから、埼玉大学教育学部附属中学校の作品、「校章の剣」。良すぎる。

すぐに剣を作ってしまうという負の中二感と、校章という正の中二感がひとつに。それを背負ってか白黒の二色出力なのもいい。最高。


多摩美ハッカースペースの亀井さんの作品が好きすぎて毎回紹介しているのですが、毎年一貫してゴミが動く(要約すると本当に身も蓋もない表現になってしまい申し訳ない)作品を作り続けていて、今回は洗面器の中で入浴剤の袋がなんとなく流れたりたまに沈んだりします。存在しないはずのわびさびが作り出されていると思う。

作品情報:TUB showing 2024 入賞者決定 - Tama Art University Bureau|多摩美術大学 TUB



同じく多摩美ハッカースペース、渋谷さんの作品。7時の点に隠されたカメラで正面を撮影、あらかじめ野外の一日の写真を機械学習したモデルを持っており、それにより現在時刻を推定して表示する。時間の感覚のあいまいさが人間に似てて、時計なのにシンパシーを感じてしまう面白さがあると思います。

アナログ時計の針の制御が一番大変だったらしく、そこで妥協してデジタル時計にしないでアナログにこだわったところもよかった。
(よくある時計ユニットの時刻合わせダイヤルをステッピングモーターでぐるぐる回している)


otomura工作クラブさんは毎回異常な足回り機構を作っていて今回もすげえ異常なのがあったのですが、その横にいたかわいいウサギに興味を全吸いされてしまいました。

キット化して2,000円で売ってると聞いて(同じ審査員の)ギャル電と「安すぎる!」がハモった(※もっと高く売らないとダメ!の意)

その後二人とも2,000円で買った。


Xではけっこう紹介したな~と思ったのですがこうやってブログに貼ると少ないですね。
ほかにも面白い作品がたくさんあったので、#MFTokyo2025のハッシュタグで各SNSを探してみてください。

学生の皆さんは来年(も)出展をぜひ!