HDDがクラッシュしたので、バックアップサービスBackblazeからデータを復元する

大事なデータがモリモリ詰まったHDDが死にました。若かりし頃の愚かだった自分であれば発狂もののアクシデントですが、齢を重ね守るべきものもできた私はデータバックアップサービスを利用しているので、穏やかな気持ちでいられます。そのバックアップサービスというのがBackblazeです。

Backblazeの導入方法を説明したブログはたくさん見つかるのですが、復元作業についてレポートしているものがあまりないようだったので、レポートしていきます。

Backblazeとは?

Backblazeはストレージの容量無制限バックアップサービスです。コンピュータに内蔵/接続されたHDDやSSDのデータをすべてクラウドでバックアップしてくれます。

※いわゆるクラウドストレージ(ファイル置き場)ではありません。保存されるのはローカルに存在するファイルのみで、手元で削除したファイルはバックアップからも削除されます

データは常駐アプリケーションが勝手に同期してくれるので、バックアップに手間をかける必要はありません。同期を除外するドライブやフォルダの設定も可能です。

料金は月額7ドル、年払いなら70ドル(5.83ドル/月)(※追記:その後、値上げして月額9ドル、年払い99ドル)。なのですが国内ではソースネクストが年間ライセンスを7,700円で売っているのでそっちの方が安いです。これ、以前は3,000円台の叩き売り価格だったのですが、一気に値上げされました。さすがに安すぎることに気づかれたか。


↑ソースネクストの製品ページ


↑Backblazeに直接課金する場合はこの招待リンクから登録すると1カ月無料になりますので何卒


ちなみにIT系のメディアでメーカー別HDD故障率レポートの記事を読んだことがある方もいると思いますが、あれを出しているのがBackblazeです。
あとはポルノサイトの blackblaze.com (backでなくblack)を、1,500ドルで買収したエピソードも僕の中では有名です。Backblazeが有名になるにつれて検索ワードを間違ったユーザーがポルノサイトの方に行ってしまい、「会社からバックアップサービスの情報が見られない」とか「なぜ卑猥な画像をサイトに貼るのか」等のクレームが殺到したためだそうです。

データの復旧方法は3つ

さてここから、実際にHDDが死んだ場合の話をしていきます。

まず注意点ですが、バックアップデータの復旧には期限があります。Backblazeはバックアップサービスのため、ローカルに存在しないデータは一定期間を置いて削除されるからです。その期間は30日。なので30日以内にデータを取り戻す必要があります。期限の直前になるとPC上のクライアントアプリから警告が出ます。


復旧の方法は3つ。

①データをZipでダウンロードする方法。別途料金は発生しません。
②B2というBackblazeのクラウドストレージサービスにデータを移す方法です。ストレージ使用料と、ダウンロード料金も別途発生します。
③HDDでデータを送ってくれます。最大8TBまでで、$189かかります。HDDはそのままもらえる。

②は諸料金がけっこう割高です(1TBならストレージ$5/月+DL$120)。これに加えてHDDの買い替え費用も発生することを考えると、②よりは③を選んだ方がいいと思います。さらに③を選んだ場合、HDDを返送すれば料金は返金されるそうです(返送時の送料等は自己負担)。

今回は安く済ませたかったこととデータの削除まで時間的余裕もあったので、①のZipでダウンロードを選びました。

HDDを購入

手元のHDDは壊れているので、まずは新しいのを注文します。今だとこれがお買い得っぽかったので(約9000円/4TB、2023/5/22現在)購入しました。

リストアファイルを作成する

次に、リストアファイルを作ります。要はDLするZipファイルを作る作業です。HDDのデータまるっと落とせると楽なのですが、容量が大きすぎるので分割DLする必要があります。

Backblazeのコンソールにログインして、「表示/ファイルの復元」を選ぶと対象ファイルの選択画面になります。

こんな感じのツリー表示の画面で選んでいくのですが、ここが重くて、自分の場合は画面を開いてから中身が表示されるまで1分ほどかかります(ファイル数によるかも)。分割DLのためにこの画面は何度も来ることになるので、そこそこだるいです。

ファイルを選ぶ際の注意点としては、ここで欲張って500GB以上のファイルを一気に選ぶと、謎のメッセージが出て解読タイムが始まります。

ただのバグだと思うのですがこれはUTF-16BEのUnicodeエスケープシーケンスというもので、デコードすると「選択したファイルの合計サイズは、ZIP圧縮ファイルのサイズ制限を超えています」になります。

さらに、それ以下に抑えてもこのメッセージが出がちですが、

こっちは無視しても問題ないです。

リストアファイルの作成は5つまで並行してリクエストできます。5つ作成中のものがある場合は、どれかが作成終了になるまで待つ必要があります。

リストアファイルのDL&解凍

HDDが届いたら、リストアファイルをDLしていきます。
コンソールから「私のリストア」を選ぶと、リストアファイルの作成状況が見られます。こんな感じです。

準備できたものは「ダウンロード」ボタンを押すとブラウザでDLできますが、1GB以上のファイルは専用のダウンロードツールを使うことが推奨されています。「私のリストア」画面からDLできます。

これがツールの画面。マルチスレッドでDLできるので、実際に比較はしてませんがブラウザでやるよりは速そうな雰囲気です。

DL速度はこんな感じ。122MB/秒ってかなり速くないですか?……なんですけど計算が合わないんですよね。70,558 / 122 = 578秒 = 9.63分 になるはず。これたぶん単位が間違っていて、122MB/秒じゃなくて122Mbps(=15.25MB/秒)なんだと思います。

実際の速度は回線と時間帯にもよると思います。
あと、DL中はどういうつもりなのか、このウィンドウがずっとデスクトップの最前面に居座ります。時間かかるので裏でやってほしいのですが…。

DLが終わるとこのツール上で解凍先を指定して解凍までできます。解凍後もZipファイルは残るので、手動で削除が必要です。

ファイルの再配置

複数のリストアファイルを同じフォルダに解凍できないようなので、個別にフォルダを作って解凍してやる必要があります。これもちょっと面倒。
解凍したファイルはドライブ直下からのフォルダ構造が維持されているので、エクスプローラ上でドラッグ&ドロップしてやるだけでマージできます。これで元の状態に復元完了です。

まとめ

僕の場合は2TBちょっとのファイルで、効率よくやっても数日はかかるなという感じでした(執筆時点でまだ途中)。
文中で挙げたとおり操作性等で微妙なところもあり、そこそこだるい作業ではあります。専用ツールまであるんだからもうちょっと使いやすくできるのでは…!?

とはいえ定期的にやんなきゃいけない作業じゃないのでまあ許容範囲かなという感じ。データが失われる恐ろしさに比べたらこのくらい何でもないです。
いやならHDD取り寄せという手もあるし。

似たようなサービスはいくつか存在していて、特に Dropbox Backup はBackblazeの復元の遅さをディスるためのページを用意しているほどです。でも先ほども書いたとおり復旧は何度もやる作業ではないので、個人的な好みとしては月額の安いBackblazeの方に軍配が上がるかなと思います。

何十年も生きているとだんだんわかってくるのですが、HDDに永遠はなく、いつか(急に)死にます。使っててよかったBackblaze!!!


↑ソースネクストの製品ページ


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