何度か書いていますが去年からクラシックギターをはじめました。練習の時にメトロノームを使った方がいいと聞くので、Aliexpressで買いました。
元値が1500円ちょっと、たまっていたクーポン使用で500円程度で買えたのですが、普通のメトロノームよりもコンパクトで質感も良く、とても良い品です。
リズムが均等でないことを除けば……。
針が左に振れるとき(振り子が右に振れるとき)、微妙にもたつくのがわかりますか?自分はAliexpressのプロなので買い物は常に「ダメ元」の精神で行っていますが、そうでなければ泣いていたかもしれません。
……ということで、練習での使用はあきらめて知的好奇心の養分になってもらうことにしました。
メトロノームの仕組み
メトロノームを使用する際はゼンマイを巻きますが、ゼンマイ式のおもちゃなどに比べて、動作時間がかなり長いことが気になっていました。
また、あの振り子はなぜ重力に反してずっと止まらないで動いているのでしょうか。
分解して確かめてみたいと思います。
すぐに全裸になりました。(筆者ではなくメトロノームが)
動いているところを動画で見てみましょう。
こうやって中の機構を見てみると「おー」という気持ちにはなるものの、動作原理まではよくわかりませんね。詳しく説明していきたいと思います。
全体像をざっくり図にするとこうです。
順に見ていきましょう。
①②
ゼンマイを巻くとギアAは矢印方向に回り始めます。
すると…
③
ギアAはその下にあるシャフトに刻まれた歯と噛み合っています。
遮蔽物があるので見にくいですが、そのシャフトにはギアBがついています。
遮蔽物を外すとこんな感じ。矢印部分の金色のギアがギアBです。実際には2枚のギアがセットになっていることがわかりますね。
このギアBにゼンマイの動力が伝わるので、回りたいわけです。ただし…
④
その歯を食い止めるように、こんな感じでU字型のストッパーがついています。歯がストッパーに引っかかるので、ギアBは回りません。
※順を追って説明するため、②で「ギアAが回る」と書きましたが、実際にはBが止められているあいだはAも回りません。ゼンマイにより「回りたい」という気持ちが発生しています。
⑤
で、このストッパー、何者なのかというと…
実は振り子につながっています。ということは振り子の動きに合わせて、右、左、右、左……と往復するように回ります。これがメトロノーム最大のポイントです。
左右に揺れた際に、U字型をしているストッパーの、切り欠き部分がギアBの歯のところに来ます。それにより一瞬だけストッパーが外れて、ギアBは歯ひとつぶんだけ回ります。
ちなみに2つのギアがついているのは、振り子が右に揺れたときと左に揺れたとき、両方のタイミングで回るようになっているわけです。
⑥
一瞬だけ回ったギアBは、すぐにまたストッパーに引っかかって止まります。
このときギアBの歯がストッパーに引っかかる音が、メトロノームの「カッ」という音の正体なのですね。
2つの疑問のこたえ
これで、最初に挙げた疑問「ゼンマイのわりに動作時間が長すぎる」のこたえがわかりました。
ストッパーが外れた一瞬の間しかギアが回らないので、巻かれたゼンマイが少ししか消費されないというわけですね。
すごい高効率なデバイスであることがわかります。
ところで、もう一つの疑問「あの振り子はなぜずっと止まらないのか」はどうでしょうか?
ギアAとBはゼンマイで動いていますが、振り子は動力を持っていません。
なぜ振り子は止まらないのでしょうか?
秘密はギアBの歯の形にあって……
こういうなんだか反り返ったような、変な形をしています。
このカーブには、ストッパーのU字を通り抜ける際に、ストッパーを蹴飛ばすように弾く効果があります。
つまり、ギアBが動く一瞬のタイミングで振り子にゼンマイの動力を伝えることで、止まらないようにしているわけです。
おさらい
以上を踏まえまして、実際の動きをあらためて動画で見てみましょう。
めっちゃよくわかりましたね!
ちなみに内部にはキャリブレーション用のネジがあって自分での調整もできそうだったのですが、何を基準にどう合わせていいかわからなかったので、あきらめました。
Amazonに似たような形のちゃんとしたメーカーもののメトロノームがあるので、見た目が気に入った方はこちらを買うのがおすすめです。
ウィットナー メトロノーム スーパーミニタクテル ルビー 884051
- メディア: エレクトロニクス
特に見た目にこだわりがなければ、いまどきは電子メトロノームの方が正確でいいかも。
わざわざ買わなくてもスマホのアプリで無料のものがありますし、あとPCの近くで練習する場合はGoogleで「メトロノーム」と検索するとメトロノームが出てきます。
自分はこれを常用しています。
以上です。