朝型生活の光と影

世の中には「朝活」等と言ってやたらと朝型生活を勧めてくる人たちがいます。その大半は意識の高まりを抑えきれずダークサイドに堕ちたライフハックマンか、体力の衰えにより長時間眠れず朝方目が覚めてしまうエグゼクティブなのではないかと推測しています。お前が早起きするのは勝手だが俺を巻き込むなという気持ちでいっぱいです。また、さらに最近はあらたに「ゆう活」などという言葉も登場し、この朝型生活推進の動きが国家的に推進されているようです。非常に由々しき事態です。

自分は基本的に夜型の人間なのですが、育児の都合によりここ4か月ほど、朝型生活を送っています。
ネット上には朝型推進派が朝型のすばらしさを説くプロパガンダ記事が多数ありますが、そうでない人間が書いた朝型の体験記というのはあまり見かけないように思いますので、少し皆様に知見を共有しておこうと思った次第です。

前提情報として自分のことを書いておくと、夜型の時は24時~25時くらいに寝て朝7時起きでした。今は21時に子供を寝かしつけるのと一緒に寝て朝3時~4時くらいに起きます。家に帰ってもやりたいことがたくさんある(趣味や個人の作品制作など)タイプです。低血圧なので朝に弱いです。

出社時間は変えていないので、交通事情等には触れません。

朝型の基本

夜型生活の場合、ざっくりいうと

起床→仕事プライベート→就寝

の順で生活することになります。朝型の場合、これが

起床→プライベート仕事→就寝

こうなります。夜型から朝型に移行した際に発生する変化の大部分は、この順番が変わることに起因します。

健康面の光と影

睡眠時間が固定できる

朝型生活の最大の利点は睡眠時間の管理が容易ということです。
夜型の場合、「この作業が終わったら寝よう」「このクエストだけクリアしてから寝よう」の連続で就寝時刻はどんどん後ろに押されていき、一方で起床時刻は出勤のタイミングに合わせて固定されていますから、睡眠時間が不安定になり、寝不足になります。
朝型の場合は、決まった時間だけ寝てから活動を開始するので、作業が睡眠を侵食することはありません。睡眠時間は固定できます。

これは積立貯金に似ています。給料日に決まった金額が自動的に貯蓄に回るので、貯金のことを気にせず生活してもどんどんお金がたまっていきます。朝型は毎日決まった時間が睡眠に回るので、無邪気に暮らしても寝不足にならない。これは最大の利点です。
朝は早起きですが、睡眠が十分とれるので日中眠くなることはあまりありません。

ただし、人によっては睡眠の質を悪くする要因もあります(後述)

食生活は乱れる

家族と暮らしていてある程度ごはんの時間を合わせる必要がある場合の話ですが、健康面でのデメリットは食生活に関することです。

1日4食になります。
・3時とか4時とかに起きて、朝食まで時間があるのでなにか軽く食べる
・7時ごろに家族と一緒に朝ごはんを食べる
※よく覚醒していておなかが空いているので夜型の時より量が多い
・12時にお昼
・19時には夕食
4食体制な上に朝食の量が多い。食べる量が明らかに増えています。

また、夕食の後わりとすぐ寝ることになり、これもよくないとされる生活習慣です。1日4食食った上に食べてすぐ寝る。着実に体脂肪が蓄積していきそうです。

(低血圧限定)出かけるときに体調が良い

出勤時には起床からかなりの時間が経っているので、だるい体を引きずって外出しなくてよくなります。やったね!

インターネットの光と影

自由時間にSNSに人がいない

未明に活動するということは、みんなまだ寝てるということです。
まずTwitterに人がいません。日中に投稿すれば一瞬で100favが付く爆笑ツイートも、深夜に投稿すればだれもいない湖に石を投げ込んだような感じで、石が水面に落ちるポチャンという音もただただ静寂を引き立てるばかりです。僕は今でもヘビーTwitterユーザーのつもりなのですが、そんな自意識とは裏腹に2~3日に1回くらいしか投稿していません。

Facebookは時間差で投稿が出てきたりするので、見かけ上は人がいるように見えます。だからといってうかつにコメントを付けたりすると、寝ている相手の寝室に「ピローン」と通知が飛ぶんだろうな……と思うともう身動きが取れません。

未明のSNSを見ていると、核戦争後の世界に自分だけ生き残ってしまったような気分になります。SNSで時間を浪費したくない人には好都合かもしれませんが、インターネットに生きる人間にとっては厳しい現実です。

プライベート活動の光と影

楽しみで夜中に目覚める

会社にいるときや通勤時間中に、何かやりたいことを思いついて、「家帰ったらやろう」と決めることがあります。Tumblrbotアカウントにディープラーニングのライブラリ入れてみようとか、テレポーター使えばプランテラが簡単に倒せるんじゃないかとか、トランジスタでうまく動かなかった回路をFETで組み直してみようとか、評判のいいワイヤレスマウス調べて注文しようとか。朝型の場合、そういうのが、ぜんぶ睡眠の後に回されます。

そうするとどうなるかというと、睡眠の質が低下します。やるぞー!っていうワクワク感あるじゃないですか。アレのせいで目が覚めるんです。12時とかに。まだ早い、と思ってもういっかい寝て1時、もう1回で1時半、都合4回とか5回とか目が覚めるときがある。たかがマウスを注文するだけでワクワクしすぎなのかもしれませんが、自分の場合はこうなったので、よくない感じがします。

あと、そういうプライベートな作業とは別に、日中片付かなかった仕事を持ち帰ることもあります。これも翌朝に回すのですが、持ち帰るのはたいてい締め切り前の急ぎの作業なので、「起きたら片付けないと…」っていう緊張感があります。これがまた長時間の安眠を阻害します。

一回寝るとモチベーションが微減する

で、起きると、実はちょっとモチベーションが下がっています。
勤務中の「家帰ったらこれやるぞ」はいわゆる溜め撃ちの「溜め」の状態で、モチベーションが上がっていく状態です。でも睡眠はテンションを緩めてくるので、モチベーションがちょっと下がります。いずれにせよやり始めたら没頭できますが、立ち上がりが遅れて、作業時間が少し減ったりします。

持ち帰りの仕事がある場合、早朝にやる仕事は深夜の5倍だるいです。深夜の持ち帰り仕事は残業のテンションの延長で行けるのですが、朝は仕事モードがオフになっており、その起動から行う必要があるからです。楽しい作業ならいいですが、雑務系は本当にだるい。

朝は表現に向いていないのではないか

これは個人的な印象に過ぎないのですが…。
朝型推進派の人は「朝は頭がすっきりしていて作業がはかどる」みたいなことをよく言っていますが、全くそうは思いません。

自分は愉快な文章を書く仕事をしていますが、メール等はともかく、公開する文章は午前中にはあまり書かないようにしています。出汁の効いてない味噌汁みたいな感じになるからです。もっとも文章が面白く書けるのは夕方18時以降です。自分の場合、これは生活リズムを変えても変わりません。文章以外ではたまにDTMをやったりするのですが、それも同様でした。

そのかわり、論理処理の能力はあまり変わらないので、このエントリのように何かを説明するだけの文章は書けるし、プログラミングもできます。こういうくくり方は雑かもしれませんが、内省して自分の表現を探っていくタイプの創造活動には向いていないような実感があります。

会社勤務の光と影

会社がだるくなくなる

会社はなぜあんなにだるいのか。仕事がうまくいっていてとても楽しく、人間関係も良好な時であっても、それでもなお会社というものはだるいです。その最大の原因は「出社のために早起きしなければいけない」「早起きするために夜の自分の時間を中断しなければいけない」です。
朝型生活はこの2つを解決してくれます。

まず、早起き。寝起きの辛さが会社と結びつくと、会社=だるい、という認識になります。
朝型だと寝起きは自分の時間なので、出社のために起きるのではなく「自分の時間を作るために起きる」ということになり、わりと気持ちよく起きられます。
寝る時間についても、自分の時間は朝に回るので、中断するものがありません。名残惜しい気持ちにならずに就寝することができます。
この点については朝型は優れています。

話は逸れますが、この問題にはもうひとつの解決方法があります。コアタイムなしのスーパーフレックスです。夜好きなだけ起きていて、朝好きな時間に起きればよいです。

そもそも朝型生活ができる環境がレア

ここまでいろいろと書いてきましたが、朝型自体の良し悪しとは別に、そもそもこういった生活ができる環境自体がレア、という問題があります。
とはいえ、冒頭で「ゆう活」について触れましたが、万人に朝型生活を強要するようなシステムもそれはそれでクソであると言わざるを得ません。
朝型も夜型も一長一短あるため、各々が自分の向いている生活を選べることが理想的です。

個人的な状況としては、自分は春に子供が生まれたのでいま育児のための短時間勤務を行っており、残業もないためこのような生活ができています。でもそのうち通常勤務に戻るので、そうしたらまた夜型になるつもりです。
僕は夜型に比べて朝型が完全に優れているとは思いませんが、ただ両方経験してみると、今まで気づかなかった「夜型生活で自分にかかっていたストレス」が見えてきます。この知見は夜型に戻った時にも生活改善に生かせるのではないかという気がしています。

わりと無難な結論に着地してしまいましたが、こちらからは以上です。いまSNSに誰もいないので、この記事は日中にタイマー公開しようと思います。

おまけ:参考書籍

最後に、光と影について参考になりそうな書籍を挙げておきますので、興味のある方はご覧ください。

↑光と影についての詳細情報です

↑光と影についてノーカットでご覧ください

山口組四代目の光と影 ~竹中正久組長の実像~

山口組四代目の光と影 ~竹中正久組長の実像~

↑いま話題の光と影です