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※元記事が消えてしまったのでwebarchiveに貼り替えた
↑これすごい面白かった。読んであーそうそうと思って、あんまり関係ない「俺とヴィレッジヴァンガード」みたいな話を書く。
昨日自分の文化遍歴みたいな話をしていて、岐阜の片田舎ではメインカルチャー(と便宜的に言うけど要するにテレビとジャンプ)しかなくて本屋に本がないし当時ネットもないためサブカルチャーやカウンターカルチャーみたいなのがヤンキー文化以外に存在せず
— メルセデスベン子 (@nomolk) 2012年10月7日
なのでメインカルチャーに憎しみの気持ちがあると逃げ込む先がなく結局自分でDTMとかやり出して自分で自分の神を作るみたいな生活をしていた結果歪んだ高校生活が生まれた気がする
— メルセデスベン子 (@nomolk) 2012年10月7日
田舎っていろんなものが一個しかないよな、参加する文化圏の選択肢もひとつしかないしそもそも本屋が一軒しかないしうどん屋もお好み焼き屋もスーパーも一軒しかないからどの店のうどんがうまいみたいな概念が存在しない
— メルセデスベン子 (@nomolk) 2012年10月7日
田舎にはなんでもいっこしかない。うどん屋もいっこしかないしお好み焼き屋もいっこしかないし、スーパーもいっこしかないし、文化もいっこしかないのだ。(スナックと床屋だけはなぜかいっぱいある)
上の発言には本屋が一つしかないって書いてあるけど実際には2つあって、エロ本しか置いてない本屋と、エロ本のほかにベストセラーも置いてある本屋である。俺が育ったところは市区町村でいう「町」なので市内に出るともうちょっと大きい本屋があるのだが、そっちはベストセラーがさらに充実していて、さらに中心部に行って大きい本屋に行くと今度は大きくなった分の棚は全部学習参考書である。エロ本とベストセラーと参考書。エロ本が文化だというのはもうちょっと大人になってから(性欲以外の視点で見られるようになってから)わかってくることだし参考書は単なる実用書なので、ここでも文化はやっぱりいっこしかない。
そういうところに高校生の時にヴィレッジヴァンガードができて(ちなみにこれは90年代の話である)、文化がいっこしかないところに急にサブカルチャーがやってきた。いっこしかない文化に馴染めていなくて自給自足のために自分の神を作るしかなかった高校生が、ハハァンどうも世の中の文化というものはいっこじゃないらしいぞ、ということに気づく。いまはネットがあるからそういうのに早い段階でたどり着けるのだけど、当時はテレビと雑誌しかないから、そうもいかなかった。
で足しげくヴィレッジヴァンガードに通ったかというとまあそれほどでもないんだけど(遠いから)、この「いっこじゃないんだ」っていうのはすごい発見だったのだ。サブカルチャーというのがあるんだから俺はこの田舎にいっこしかない文化に別になじまなくていいんだな、という気持ちをお土産に、ひきつづき自室で自分の神を作っていた。
だからいまネットに情報があふれてる時代で、ヴィレッジヴァンガードが超たくさんあって、「ヴィレッジヴァンガード(笑)」みたいになってるのはわかるけど、おっちゃんにとってはあれはすごいインパクトやったんやよ、という、単なる昔話である。
この話は終わり。
ここからは別の話。
そのあと俺は大阪の大学に行って、自分を救ってくれたサブカルチャーをちゃんと知っておくべきと思って、ちゃんとしたサブカルチャー人間になろうと思って、ヴィレッジヴァンガードでバイトをした。ので(10年前の)本のラインナップについてはそれなりに把握してる。
当時ヴィレッジヴァンガードって絶対全店においてあるような定番本があった。たとえば地球家族とか、ナウシカとか、BUNNY SUICIDESとか、タッシェンとか、今日の芸術とか。いま近所のヴィレッジヴァンガードに行って思うのは、昔の定番がそのままずっと売られてるんだなということ。新しい本ももちろんあるんだけど、定番が変わってない。
だからヴィレッジヴァンガード行くと時間が止まっているように見える。この店はずっと同じなんだな、と思って。
で、ヴィレッジヴァンガードが「ヴィレッジヴァンガード(笑)」になっちゃったのって、ねとぽよの記事でいうところの「メジャーにマイナーなサブカルチャーの代名詞」な存在になっちゃったからだけど、少なくともこの全然変わらない定番ラインナップに関しては、実はあんまりいわゆる「サブカル」じゃない。一例としてさっき挙げた本のアフィリエイト貼るからリンク先とんで注文して読んでみればわかる。(いやならレビューだけ読めばいいけど…)
- 作者:マテリアルワールドプロジェクト,ピーター・メンツェル
- 発売日: 1994/11/10
- メディア: 大型本
風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」
- 作者:宮崎 駿
- 発売日: 2003/10/31
- メディア: コミック
クリムト NBS-J (タッシェン・ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)
- 作者:ジル ネレー
- 発売日: 2000/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)
- 作者:岡本 太郎
- 発売日: 1999/03/01
- メディア: 文庫
品ぞろえの核になってるこの定番リストに関しては、もうサブカル云々とかじゃなくて、ヴィレッジヴァンガードが本気で「一生売り続けたい本」(これは地球家族のPOPの定番フレーズ)だという感じがする。で、全部ちゃんといい本。だから、ここがこの文章の結論ですけど、大量出店してレア感なくなって悪く言われることはあるかもしれないけど、俺の中では、ちゃんといい本をずっと売り続けてる本屋、というイメージなのである。
余談だけど、ド真ん中の定番リスト以外にも、けっこう同じ本ずっと売ってる。「メジャーにマイナー」っていうのも、同じ本ずっと売り続けてるからそれがだんだん人気出てメジャーになっちゃうという面もあるんじゃないかしらと少し思う。(わかりやすい例だとヘルタースケルターとか幻の作品でずっと単行本化を待望されてたのが2003年に出てウオーって感じだったはずなんだけど、2013年現在では「沢尻エリカの主演映画の原作」みたいな感じだし)
同じ本がずっとあるのって、悪く言えば品ぞろえの回転が悪いということだけど、見方を変えれば過去の文化的資料が手に入りやすい形で豊富に残ってるということで、いいことだと思う。資料と呼ぶに値する程度の本がちゃんと選んであると思うし。しかも図書館と違って売ってるから、(出版や流通のことはわからないけど)ヴィレッジが全店に大量に仕入れるから絶版を免れてる本とかもしかしたらあるかもしれない。
長くなりましたがこちらからは以上です。
追記:
重要なことを書き忘れていたので追記します。
管野美穂がファッション誌10誌くらいの表紙を独占した月があって、2誌ずつペアにして並べて3Dステレオグラムのコーナー作ったのがヴィレッジヴァンガード時代の最高傑作
— メルセデスベン子 (@nomolk) 2012年10月7日
あとこれはちょっといい話なんだけど、ヴィレッジヴァンガードは裏技として雑貨でも図書券使えて(当時。今は知らない)、おじいちゃんから勉強の本でも買いなさいってもらったと思われる図書券握りしめた高校生が、マリファナの刺繍がバキーンって入ったマジックテープの財布を購入したりしていた。