この記事ではB5サイズの箱型ディジュリドゥ、DDG-BOX-2を紹介します。すでに琴線に触れた方はこの先を読まずに買っても差し支えないでしょう。
MEINL Percussion マイネル ディジュリドゥ Stereo Didgeridoo Tuning/C DDG-BOX-2 【国内正規品】
- 出版社/メーカー: MEINL
- メディア: エレクトロニクス
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※以下、音や楽器についての評価は全体に、趣味でちょっとかじっただけの素人によるものなのでご了承ください。
はじめに
みなさん趣味ありますか。僕は趣味をきかれたら電子工作とかインディーゲームとかワールドミュージック収集とか答えていたのですが、実は過去にもういっこ趣味があったのを最近になって思い出しました。ディジュリドゥ演奏です。なぜかここ10年ほど完全に忘れており、2週間前に突然思い出して、ハッとしました。今日はそんな趣味再燃のきっかけになったアイテムをご紹介します。
ディジュリドゥとは
まず前提として楽器の説明なんですけど、オーストラリアの先住民族であるアボリジニの伝統楽器です。
上の動画を見ていただくと分かりますがかなり独特です。演奏は普通の楽器のように音程を変えるのではなく、音色を変えることで行われます。倍音の変化でウニャウニャと音がうねっているように聞こえますよね。よく口琴やホーミーと並んで倍音楽器とか言われます。*1
上に貼った動画は Don Dhakaliny Burarrwanga というアーネムランド(地名。土地により奏法が違う)の名手によるトラディショナルな演奏です。続いて、コンテンポラリーな演奏だと例えばこんな感じになります。
Adèle & Zalem という2人組のユニットによるダブステップ風の曲です。ビートの強い音楽に合わせるためにヒューマンビートボックスに近いような演奏をしています。
- アーティスト: Adèle & Zalem
- 出版社/メーカー: Adèle & Zalem
- 発売日: 2016/05/15
- メディア: MP3 ダウンロード
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日本人奏者ではこの動画のGOMA氏が一番有名です。*2
- アーティスト: GOMA&The Jungle Rhythm Section
- 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
- 発売日: 2018/02/14
- メディア: CD
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いままでのディジュリドゥ
ディジュリドゥが何か分かったところで自分の話に戻りますが、僕は現在3本のディジュリドゥを所有しています。1本は大昔にアジア雑貨屋で買ったやつで、
長さは140~150cmくらいでしょうか。サンダルは大きさ比較用(サイズ27cm)です。
木製なので重いです。ガチなやつは白アリがくりぬいた(中身を食べた)ユーカリの木を使うのですが、これに関しては人工的に穴をあけたものだと思います。
ディジュリドゥは吹き口の部分に蜜蝋というものが塗ってあり、唇にフィットしやすくなっています。*3
自分が持っている中ではいちばん本格的なディジュリドゥではあるものの、なにぶん楽器屋ではなく雑貨屋で買ったものなので、どのくらいちゃんとしたものかはよくわかりません。*4
もう1本はこれです。
塩ビパイプ製のものです。ディジュリドゥって要はただの筒なんですよね。なので出来合いのパイプを使えば簡単に、ホームセンターで予算1000円程度で作れます。
部品はこれだけ。40サイズの塩ビパイプ1mに、吹き口として40-25のソケット、そして音の出る側に40-50のソケットをつけただけのものです。見た目は完全に配水管ですが思いのほか鳴りも良く、アジア雑貨屋で買ったやつと甲乙つけがたいレベルです。こっちのほうがやや固い感じの音ですが倍音はむしろよく響いている気が。プロでも水道管そのまんまではないにしろ、塩ビ製の楽器を使っている人はいるようです。
写真のものは1mのパイプで作ってしまいましたが、長さはもうちょっと長くしてもいいかも。50cm×2で間にジョイントを噛ませると、少し長くなるうえにあとで分割できるので携帯性が上がります。あと同じくジョイントを使って途中で一段階太くしたりとか、トロンボーンみたいに伸縮式にしたり(ディジュリボーンと呼ばれます)とか、アレンジの自由度が高い。
唯一の欠点としては吹いてると口が痛くなるところです。吹き口をやすりがけして角を落とすか、こちらも蜜蝋で固めてやるといいのかもしれません。
箱型のディジュリドゥ
そして最近買った3本目が、今回のメインであるDDG-BOX-2です。MEINLという楽器メーカーのもので、謎のテクノロジにより、一般的には長い棒状であるディジュリドゥがB5サイズの小さな箱になりました。(正確にはB5よりひとまわり小さくて、特に短辺は3/4くらいの細さ)
いま僕が趣味として再燃しているのは、Amazonで2週間ほど前に偶然これを発見したのがきっかけでした。
MEINL Percussion マイネル ディジュリドゥ Stereo Didgeridoo Tuning/C DDG-BOX-2 【国内正規品】
- 出版社/メーカー: MEINL
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これ。ほかの2本と並べるとこんな感じです。
小さい!写真でどのくらい伝わってるかわからないけど、ディジュリドゥってでかいんですよ。立てると成人男性の胸くらいの長さがあります。それがハンディサイズに!!!!
本体には穴が3つ開いています。真ん中が吹き口で、左右が音の出る穴。つまり、構造としては…
これはパッケージに載っていた断面図です。吹き口から入った空気はこういう風にくねくね曲がったところを通って、最終的に左右の穴から出てくると。だからこの短さで、ディジュリドゥの管の長さを確保できているわけです。……いや理屈は分かるけど、それってものすごく机上の空論っぽくないですか。これでほんとに倍音が出るのか。
実際吹いてみると、いいんですよ。代用としてギリギリ行ける……みたいな感じじゃなくて、ぜんぜん遜色がない。自分は素人なのであんまりシビアな評価はできませんが、少なくとも僕がディジュリドゥに期待している音は十分出ます。
ただ注意点があって、さっき写真で見たとおり、音の出口が自分に向いてるんです。つまり、その「十分良い音」は自分にしか聞こえない可能性がある。これでライブやろうとか、そういう用途には向いてないかもしれません。練習用がメインという感じ。
音の比較
せっかくなので3本分の音を動画で貼っておきます。なにぶん趣味でたしなむ程度&10年のブランクがあるので、参考音源としては下手すぎで恐縮です。
こうやって比べると、やっぱりDDG-BOX-2がワンランク聴き劣りしますよね。前提として他の2本に比べるとそもそもの音量が小さいというのがあるのですが、それでも少し倍音が弱いというか、聞こえにくい印象がある。ただこれ演奏中は全然それに気づいてなくて、あとで動画で見て初めて「あっ、こうなんだ」って思ったんですよね。自分に聴こえる音はめちゃいい音が出ている。ただしちょっと離れたところにあるカメラには、それが届いてないという感じ。
とはいえ聴き比べずに単体で聴けば十分ディジュリドゥの音ではありますし、それを置いといてもこの携帯性は何物にも代えがたいと感じます。
さらに特徴をもうちょっと
そんな DDG-BOX-2、特に練習用として使うシーンで優れている点が多くあります。携帯しやすくどこでもサッと取り出して吹けるのは圧倒的な利点ですが、くわえて音が(比較的)小さいことも練習環境を考えると便利でしょう。そしてさらにもうひとつ重要なのが、音の出口に手が届くこと。これが何を意味するか分かりますか?
写真がすごいピンボケですみませんが、こうやって穴を覆って吹けば、音量を多少抑えることもできる。何かを詰めたりというのも(試してませんが)いいかもと思います。トランペット等にはミュートがあって多少音を小さくできますが、ディジュリドゥにはないので、練習のときには重宝するのではないでしょうか。
余談ですがダイソーに売ってたデニムの袋がわりとぴったりでした。
いいところばかり書いたので最後に気になる点を挙げておくと、吹いてると中に呼気の水分で水滴がつくんですよね。普通の棒状のでもつくんですけど、これは構造が複雑なだけに湿気がたまって木が痛んだりしないかなという、耐久性のところが気にはなってます。ちゃんとニス加工してあるのですぐダメになるということはなさそうだけど、まだ買って日が浅い段階なので未検証事項として挙げておきます。
以上が、バッグに入るディジュリドゥ DDG-BOX-2の紹介です。個人的には超気に入っております。すでに一本持っている人がサブとして検討するなら即買いレベルと言ってよく、これから始めたい人も、練習しやすいこれ&安くて形状がノーマルな塩ビパイプの2本持ちでスタートするのはわりとアリな選択肢ではないでしょうか。
MEINL Percussion マイネル ディジュリドゥ Stereo Didgeridoo Tuning/C DDG-BOX-2 【国内正規品】
- 出版社/メーカー: MEINL
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おまけ:ディジュリドゥの吹き方
流れ上、吹き方について触れてなかったので少しだけ書きます。DDG-BOX-2に限らず一般的な情報です。かなりざっくりなので自分で吹きたい人は専門サイトで学ぼう。
ディジュリドゥは、先にも書きましたが構造としてはただの筒で、発音機構のない共鳴具です。したがって息を吹くだけでは音は出ず、自分で音を発生させる必要があります。
具体的には唇を吹き口に当て、ブーッとふるわせて音を出します。トランペット等の金管楽器と同じなので、経験者はわりとすぐ鳴らせると思います。その状態で口の中の形や舌の位置を変えると、倍音が変化してミョイ~~ンみたいな音が出ます。
くわえて大事なのは、循環呼吸です。息継ぎの時に音を止めないために、吹きながら息を吸います。
一見ヨガフレイム並みの変態秘術のようですが、ネタバレすると、単に口の中に空気をためておいて、息継ぎの時に「鼻で息を吸いながら、ためた空気を頬の筋肉で押し出す」だけです。これがうまくできると無限に長い音が出せます。サックス等でも特殊奏法として使われますが、ディジュリドゥでは基本技術として扱われます。
他には吹きながら声を混ぜるコールとか、強く吹いて高い音を出すホーン、あと吹きながらドゥルルルルって巻き舌をしたり、動物の声マネをしたり、さまざまな技があります。筆者は循環呼吸ができるようになったくらいで止まっていたので、こういった技はあんまりできません。
Indigenous Australia PTY Ltd. (2009-04-17)
イメージが湧きやすいように、筆者が下手ながらも練習しているところの動画を貼っておきます。「スッ」っていう息を吸う音と同時に、音が途絶えなかったり(循環呼吸成功)途絶えたり(失敗)しているのがわかるかと思います。途中からホーンを入れてみたのですがほかの音と間が開いてしまうので明らかに浮いており、かなり間抜けな感じになっております……。
せっかくいい練習道具を手に入れたので、精進します……。
買い物コーナー
MEINL Percussion マイネル ディジュリドゥ 47" Wood Didgeridoo Tuning/E Black DDG1-BK 【国内正規品】
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ユーカリ製はないみたいなので本格派にこだわる人は専門サイトで買おう。
Songs From The Northern Territory, Vol.1
- アーティスト: Alice Moyle
- 出版社/メーカー: Orange Amaro
- 発売日: 2019/06/26
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- アーティスト: Tribal Music of Australia
- 出版社/メーカー: Folkways Records
- 発売日: 2012/05/30
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