Raspberry Pi で使えるポータブルモニタの決定版が出てた(タッチスクリーン付き、GPIOを占有しない、ケース付き、約3000円)

当ブログではこれまで2度にわたってRaspberry Pi用の周辺機器道を探求してまいりました()。
趣旨としては、ふだんはSSHで使ってるんだけど、展示会場でWifiの接続設定がしたい時とかちょっとしたタイミングでモニタや入力機器がほしい、でもかさばるのは嫌、という人に向けた周辺機器情報です。
しかしこのたびついにポータブルモニタの決定版が出ておりましたので、ご紹介します。ちなみにkaraageさんのブログで知りました。

3.5インチのミニディスプレイです。タッチスクリーン付き。約3千円です。

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どこがどう決定版なのか

同タイプのは前回もご紹介したのですが、あれも含めて従来のこの手のディスプレイはGPIO端子に接続するものが主流のため、

  • GPIO端子を占有してしまう
  • ドライバのインストールが必要(急に使いたくなったとき別のモニタかSSHがないと無理)

という弱点がありました。

しかしですね、この製品はその2つを完全に克服しております。

すごいところ・その1 GPIO接続と見せかけてHDMI接続である

そうなんです、HDMIなんですよ。

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なんかアホみたいな基板がついてきます。

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これでRaspberry Pi本体と接続します。下にある緑の基板がRaspberry Pi、上の青いのがこのディスプレイです。普通にHDMI接続のモニタとして認識されるので、セットアップ不要で使えます!(タッチスクリーンは要セットアップ)
GUIは解像度変えないときついですが、がんばって細目で見ながら設定パネル開いて変えればよい。

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CUIなら解像度そのままでもなんとか読めそう。

ちなみに前に調べたときもHDMI接続のミニディスプレイは一応あったのですが、最低でも5000円台からだったので、この価格で買えるとは驚きです。

すごいところ・その2 GPIO端子が使える

そうはいっても、よくあるミニディスプレイの例にもれず、この製品もGPIO接続を必要とします。電源とタッチスクリーンのためです。
ところがですよ、これを見てください。ディスプレイ基板の裏側です。

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GPIO接続用ピンソケットのほかに、L字ピンヘッダが……?

これ、GPIO端子をそのまま脇から出してくれてるんですよ!最高じゃん!

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ふさがれたはずのGPIO端子が、基板の脇からフェニックスのように蘇ってきます!!やばい!!!!!!!!!

つまりですよ、従来のこの手のミニディスプレイの欠点が全部克服されております。
この最高さ、おわかりいただけたでしょうか。

ケース付きも選べる

Amazonで買うと2種類の選択肢があるんですけど、ひとつはケース無し2,999円、もうひとつはケース付き3,320円です。(執筆時点)
ケースはこんなのです。

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ケースは普通のアクリルのケースなので、「すっげえ最高!!」みたいなことはないんですけど、Raspberry Piとディスプレイを一体化させて固定できるので携帯時など心強くはあります。あと300円だと思うとメチャ安。

ちなみに液晶面は覆われていません。タッチスクリーンなので。携帯時はもう一重、箱に入れたりしたほうがいいかも。

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立てることもできます。展示に使えるかも?

というわけで褒めコーナーはこれでおしまいです。ここまで読んだ人は全員買うと思うので、以下、本製品のTipsというか実用情報を続けます。

ちなみに入力機器はまだこれを使っています。手のひらサイズでキーボードとタッチパッド付。詳細はこちら

ケースの組み立て手順

まずRaspberry Piを底板に軽く固定します(長いネジ+透明のスペーサー)。しっかり固定すると次の手順で引っかかるのでネジはゆるく。

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そのあと、

  • 側面の板をはめる
  • 底板のネジをあらためて締める
  • 天板と底板を固定(長いスペーサー+短いネジ)

で完成です。

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アクリルの切り欠きや穴の位置が実際の端子と合わない場合、どこかの板が裏返しになっているので直そう。

タッチスクリーンのセットアップ

ディスプレイとしてはHDMI接続するだけで使えますが、タッチスクリーンはセットアップが必要です。
付属のDVD-ROMにセットアップ済みのRaspbian、Ubuntu、Kaliの各OSのイメージが入っていますし、ドライバだけ入れることもできます。
ドライバはDVD-ROMに入っているほか、ここにも同じものがあります。
github.com
セットアップ手順は README.md にも書いてありますが、

git clone https://github.com/goodtft/LCD-show.git
chmod -R 755 LCD-show
cd LCD-show/
sudo ./MPI3508_480_320-show

を順に実行すればOKです。*1
自分の場合はキャリブレーションなしでも正確にポイントできました。

MPI3508_480_320-show の 480_320 の部分は解像度です。他にもいくつかの選択肢があります。
480*320だとこのくらいの広さです。

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GPIO端子について

GPIO端子の脇にピンアサインが書かれていて便利なのですが、

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ちょっと注意が必要です。このピンアサインは上から見た配置で書かれているので、基板の裏側から出ている横向きのピンは、左右が逆になります。
上の写真で一番上の行の2本を見てください。サイドに出ているピンは一見すると上が5V、下が3.3Vに見えますが、そうではなくて上が3.3Vで下が5Vです。

あと書いてあるピン番号はなぜかWiringPiやPi4Jで使うときのポート番号です。BCMではありません。(不慣れな方へ:GPIOのピン番号は2種類あって、片方だけが書いてあるということです。表記だけの問題なので実用上の問題はありません)

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ピン番号の対応表。WiringPiとBCMの番号が違う。Raspberry Pi – Programming LEDs : YashTech Blogより

それからGPIOまわりでもういっこ大事なことがあって、タッチスクリーンを設定した場合は19、21~23、26番のピン(この番号は上の画像でいうHeaderの番号です)はタッチスクリーンに占有されるため使えません。ご注意ください。
嫌な場合はタッチスクリーンの設定をしなければ、全部使えると思います。

ディスプレイ側の端子について

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ディスプレイ側にも電源用のマイクロUSB端子と、右の方にステレオミニジャックもあるのが見えるでしょうか。
基本的にはRaspberry PiのGPIO端子から給電されるので、マイクロUSB端子には何もつながなくてOKです。いちど間違えてディスプレイ側のマイクロUSB端子だけに給電してしまったのですが、それでもRaspberry Piを起動させることはできました。でも動作が不安定気味だったので避けたほうがいいでしょう。

ステレオミニジャックは、本体側と同じ音が出力されていました。2人でイヤフォンで音楽を聴きたい時に便利(?)。

古いRaspberry Piについて

うちには2でも3でもないRaspberry Pi TYPE Bがなぜか2台もあるのですが、こちらでも使えるか試しました。

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GPIOのソケットが干渉して入りませんでした…。刺さったとしてもピン配置が違うのでダメかも。
GPIOを挿さずに普通にHDMIケーブルで接続し、ディスプレイとRaspberry Pi本体それぞれに給電してやればモニタとしては使えそうです。

というわけでTipsでした。最高のモニタのご紹介は以上です。繰り返しになりますが、これで3000円の高コストパフォーマンスです。Raspberry Piユーザーは全員買って損なしだと思います。

追記:液晶のスペック

TFT液晶です。液晶の型番はMPI3508というのが起動時に表示されます。
解像度については商品情報に明記されてませんが、同じ液晶を使った別製品のスペックを見た感じだと、物理解像度480 × 320っぽいです。

*1: このやり方だと /boot/config.txt 等の設定ファイルが書き換えられてしまうので、自分で設定したい方はこちらに情報があります http://neuralassembly.blogspot.jp/2017/12/raspberry-pigpio.html